踏切遮断器のモーター

踏切遮断器のモーターの音を聞いた。これまでも聞いたことはあっただろうが、二十五年も生きてきて、初めてそれと認識して聞いた。

その音は思ったよりも高くて、勢いがあり、余韻を残さず突然止まった。長い遮断器の棒をすばやく持ち上げるのである、モーターにはそれなりの負荷がかかるはずで、キュルキュルキュルという音が黄色の箱から漏れ出ていた。人がよっこいしょと持ち上げれば一息つくだろうが、遮断器のモーターは持ち上げたあとはすぐに沈黙する。その一連の流れ一発に命をかけているかのような、そんな真剣さを感じる音だった。

もともと大きな音ではないため車が近くにいればエンジン音でかき消されるし、気にも留めない音の一つだろう。しかし一度気がつけば、モーターが社会の安全を保っていることを人へ再認識させる、そんな音かもしれない。