スライドを作るときに気をつけていること

研究 プレゼン

研究をしていると、ゼミで進捗を報告したり、論文紹介をしたり、学会で口頭発表を行ったりします。 これまで先生・先輩方に助言をいただきながらプレゼン資料(パワーポイントスライド)を作ってきましたが、最近やっと自分のなかでスライド作成の際に気をつけるべきことがまとまってきたので、備忘録的に残しておきます。

構成編>

構成編

1. ストーリーを意識する>

1. ストーリーを意識する

発表中のそれぞれの内容に、繋がりを作ってやります。

人間は基本的に物事を時間的前後関係の中で理解するため、研究であれば「これこれこういう理由でこれが重要だからこれで調べた、そうしたらこうだった」の流れがしっかり作ってあると、内容をすんなり理解できます。 逆に、前後関係が曖昧だったりそれぞれの行動(実験)への意味づけが不十分だと、聴衆はそこで置いてけぼりにされてしまいがちです。 聴衆がストレスなく内容を理解できる、各項目が滑らかに繋がり結論まで辿り着くようなストーリーを考え、プレゼンの骨組みとする必要があります。

2. 背景と目的は必ず伝わるように>

2. 背景と目的は必ず伝わるように

研究の目的とそこに至るまでの背景に関するスライドは、過不足なく伝えたい内容が伝わるよう、工夫を凝らします。

当たり前ですが、目的がわからないと、その後出てくる実験もなんのためにやっているのかわからず、聞く気が失せてしまいます。 そのため、研究の背景と目的は確実に伝わるように構成やスライドの細部にまでこだわるべきなのですが、意外とさらっと流してしまったり、申し訳程度のスライドを作ったりしてしまいます。

これは、発表者はその研究について相当長い時間考えてきているために、目的やそこに至るまでの背景が、自身の中である種「当たり前のもの」になってしまっていることが原因のひとつかと思います。 聴衆は自分の研究を初めて聞くということを忘れずに、わかりやすい、相手に寄り添った資料を作る必要があります。 そのためには、視覚的に理解ができるようにするのが有効かもしれません。 例えば目的をポンチ絵にまとめたり、パッと想像するのが難しい対象を扱う際は、具体的な写真を強調するのもひとつの手かと思います。

3. いらない情報は入れない>

3. いらない情報は入れない

話の本筋に関わらない情報は抜いてしまいます。

また、話さない内容はスライドに入れず、スライドにない情報も話さないようにします。 聴衆が一瞬でも「ん?」と気になってしまうと、混乱とストーリーからの脱落を引き起こすため、「本当にこの情報は必要なのか?」と常に自問自答しながら資料を作る必要があります。

4. つなぎスライドを使う>

4. つなぎスライドを使う

データを示すスライドのほかに、話のつなぎとなるスライドを入れます。

これは1番とも関係しますが、ストーリーについてきてもらうためには、「現在地点」を確認してもらうことが重要です。 人は一度聞いただけのことを長時間覚えていられないので、「そもそもこの研究は最初、何がしたかったんだっけ?」と、途中で混乱してしまうこともしばしばです(私だけかもしれません)。 そのため、聴衆がプレゼンのストーリーの構成を理解しついてこれるよう、所々で話の繋がりを意識できるような「つなぎ」のスライドを入れることが重要です。 このつなぎスライドにはイラストなどを使うと、ひとめで内容を認識できるので良いかもしれません。 一例ですが私は、ストーリー中の1テーマ目のの終わりに、そこまでのまとめとして下のスライドを出し、簡単に話をまとめるようにしています。

その後、また別のつなぎスライドを使い、次から話すことを印象づけようと心がけています。

デザイン編>

デザイン編

1. 文字は大きく、太く>

1. 文字は大きく、太く

とりあえず文字は大きくします。

見出しや強調は30pt以上、全員に読んでもらいたい内容は基本的には24pt以上にはする必要があると思います。 また、細い文字は優先順位の低い内容にのみ使い、基本的には太文字にします。

2. 伝えたい内容は目立つ場所に>

2. 伝えたい内容は目立つ場所に

そのスライドで伝えたい内容は、各スライドの目立つ場所に簡潔にまとめます。

その一つがスライドのタイトル部分だと思うのですが、ここにはついつい「Results」などセクションのタイトルのみを入れてしまうことがあります。 目立つ位置にその内容しか入れないのはもったいないですし、IntroductionなのかResultsなのかは話を聞いてもらえていれば伝わっていると思うので、省いて有効活用したいところです。

3. 統一感を出す>

3. 統一感を出す

色やオブジェクトの位置などに関して、揃えられるところは揃えます。

法則性が見えない色の使い方やテキストボックスのズレなどは、見ている人の気を散らせます。 よってなるべく視覚的ノイズを減らした、内容にのみ注意が向くスライドを作る必要があります。 このあたりに関しては 伝わるデザイン に非常に詳しくまとまっているので、しっくりこないなあ…と思った時は参考にすると、スライドがぐっと良くなります。


研究を始めて5年、聴衆に自分の研究を理解していただくためには、上記のような、当たり前のことの積み重ねが重要なのだということをやっと理解しました。 とはいっても、まだまだわかりにくいスライドを作ってしまうことが多々あるので、今後も研鑽を積みたいです。